挫折から生まれた進化。INITYが愛されるブランドになるまで
ネイルブランド「INITY(アイニティ)」の誕生から現在に至るまでの軌跡を、hbaz代表・長井竜太が赤裸々に語る。
製品開発、営業戦略、チームとの信頼関係、そして幾度もの危機。情熱を原動力にネイル業界を駆け抜けてきた、その飽くなき挑戦の記録。
「理想」と「現実」のギャップから始まった、ベースジェル開発
INITYがスタートしたのは2016年。最初は、自社サロンで使うジェルを作るところからでした。
正直に言うと、ベースジェルの開発は本当に手探りでした。当初は「とにかく原価を抑えたい」という気持ちが先に立っていて、それ自体は実現できたんです。でも、肝心の密着力がまったく足りなかった。サロンスタッフからは、「こんなの使えません!」と、かなりストレートな声も返ってきました。
ただ、この失敗があったからこそ、いまがあります。スタッフと一緒に何度も検証を重ね、試して、また直して……。そうして生まれたのが、現在の〈フィットベースジェル〉でした。
“密着するのに、オフしやすい” ジェルネイル最大の矛盾に挑む
開発でいちばん苦しんだのは、いわゆる“ジェルネイルの矛盾”でした。密着性が高いのに、オフはしやすい。この両立は、想像以上に難しかったですね。
理想の粘度や柔軟性を求めて、工場とは何度もやり取りを重ねました。当時は「とにかく、明日からこれ使ってみて!!」と、自社サロンに半ば丸投げ状態。結果は、まぁ想像通りだったんですが(笑)、その分、現場から上がってくる細かなフィードバックが本当にありがたかった。
「1ヶ月浮かない、というのがうちの絶対条件。密着力があって、なおかつオフしやすい。これって本当に矛盾していて(笑)、工場とは何度も試作を重ねました。ようやく“これだ”と思えるものができた時は、素直に嬉しかったですね」
次第に、「他社のジェルより良いかも」という声も聞こえるようになり、実際に使ったネイリストさんからの評価も、少しずつ集まっていきました。
鳴かず飛ばずの日々と、心が折れかけた時期
2016年7月、INITYとして正式にブランドを立ち上げました。ただ、現実は甘くなくて、しばらくは本当に鳴かず飛ばず。大手ディーラーを地道に回り、イベントにもできる限り参加。同時に、SNSでの発信にも力を入れました。ブランドのInstagramアカウントも自分で立ち上げて、最初はすべて手作業で運用していました。
それでも、ピンチは何度もやってきます。精神的にかなり追い込まれて、うつ病の薬を服用していた時期もありました。そんなときに支えになったのが、経営者仲間や恩師の存在です。同じような経験をしてきた人の言葉には、不思議と重みがあって。ふっと心が軽くなる瞬間が、確かにありました。
リブランディングがもたらした“賑わい”と、次の挑戦
2018年頃から、INITYの名前は少しずつ広がり始めます。注目される新興ブランドと並んで語られるようになった、そのタイミングで行ったのがリブランディングでした。
グレーを基調にしたパッケージや、小文字ロゴへの刷新。時代に合ったプロダクトデザインを徹底的に考えました。この経験は、結果的に社内の若手スタッフの成長にも大きくつながったと感じています。
僕は、ブランドにとって“賑わい”は欠かせないものだと思っています。イベントで人が集まり、直接、熱量を伝える。その積み重ねが、ブランドを育てていく。
リブランディングをきっかけに、才能ある人材もhbazに加わりました。ただ、その後に退職が決まり、「もうダメかもしれない」と感じた瞬間もありました。そんなときに現れたのが、「何でもやりたいです!」という熱意を持った新しいスタッフたち。そのエネルギーに、正直、救われましたね。
こうした経験を重ねる中で、自然と身についたのが「先手必勝」という考え方。ピンチの兆しを感じたら、迷わず動く。それが、ブランドを続けるために必要だと学びました。いまは、新ブランドとの競合や、大手流通先との関係など、プレッシャーも増えています。それでも、冷静さと柔軟さを忘れずに、常に次の一手を考え続ける。INITYの挑戦は、これからも続いていきます。
ブランドに関わるネイリストさんたちに求めるのは、“情熱”。何かを一緒に成し遂げたときに、心から喜びを分かち合える関係を大切にしながら。これからも、ピンチをチャンスに変え、ネイル業界の次の景色を目指していきたいですね。
長男・トラ君 、いよいよモデルデビュー!?
先日、都内某所で“秘密の撮影”が行われた。実はこれ、イベントでhbazブースでもお馴染みの、長井さんの長男・トラ君の宣材(アーティスト写真)撮影。今後の動向にも注目したい。



hbaz代表取締役
長井竜太 Instagram:@ryuta_nagai
1975年、東京都生まれ。
2005年よりネイルサロン経営をスタートし、2013年に株式会社hbazを設立。
現在は「INITY」をはじめ、「TOY’s × INITY」「lem.」など、複数のネイルブランドを手がけ、業界の第一線で活躍している。

