「受け取る力」が未来を変え、「動く力」が道を拓く
「経営者って、孤独なんですよ。でも、孤独なままでいたくない」。そう語るhbaz 代表・長井竜太は、ネイル業界の最前線で活躍しながら、“誰かのために”を軸に挑み続ける。今回は、寄り添いながらも業界を切り拓く、その思考と行動に迫った。
経営はチーム戦、寄り添う姿勢が未来をつくる
経営って、一人で走っているように見えるかもしれません。でも実際には、「誰と走るか」が何よりも大切だと思っています。僕自身、スタッフはもちろん、取引先の皆さんを含め、関わるすべての人に寄り添える経営者でありたい。そんな想いを胸に、これまで走ってきました。
普段のインプットは、ニュースやネットでの時事チェックが中心です。ただし、ネイルに関しては、国内よりも海外に目を向けることが多いですね。特に韓国、中国、ロシアは刺激的な発想が多く、見ていて本当に面白い。国内の情報だけを追っていると、どうしても似たものになりがちなので、あえて距離を取るようにしています。韓国の繊細さ、中国の大胆なスタイル、それぞれに魅力がありますが、大事なのは、それをどう自分達の形で活かすか。そこは常に冷静に考えています。
みんながHappyになれるイベントづくり
最近では、まつげ業界の交流会に参加したことがきっかけで、「店販」の可能性に改めて気づかされました。「これ、ネイル業界にも応用できる」と直感したんです。ネイリストの中には、店販があまり得意でない方も多い。でも、きちんと商品の魅力を伝え、納得してもらえれば、お客さまは必ず喜んで購入してくれます。ネイルオイルやハンドクリームといった定番品はもちろん、ルームフレグランスのような空間演出アイテムまで。店販の可能性はまだまだ広がっていくと感じています。
イベント運営では、チャリティと利益の両立を常に意識しています。たとえば先日開催した「能登半島支援 NAIL FESIN KYOTO 2025」では、皆さまから249万1015円もの支援金が集まりました。経費を可能な限り抑え、出展者側の負担を軽くすることで、「赤字になるなら出たくない」という空気を変えていけると信じています。イベントは単に利益を生む場ではなく、参加した全員がHappyな気持ちで帰れる場であるべきだと思っています。

hbazのスタッフがこの日の長井氏のネイルを担当。「TOY’s × INITYの『Party Flash Aqua』を使用し、水面のような輝きを指先に。右手には繊細なフラッシュラメ、左手にはマグネットのアシメデザインに仕上げてもらいました」
社内では「hbaz10訓」という行動指針を掲げています。「困難の先に栄光がある」「果敢に攻めよ、守りを恐れるな」など、強いメッセージが並びますが、大事なのはそれをどう伝えるか。20代には共感をベースに、30代には責任感を刺激するようにと、世代に応じて言葉のかけ方を変えています。イベントはスタッフにとっても明確な目標になりますし、利益が出ればしっかりインセンティブとして還元しています。
五感でつかむ経営のヒント
移動の多い生活の中で、旅先でも常にアンテナを張っています。ネイルサロンの雰囲気や、街を走る車の流行、中国で見かけた自動運転車など、そうした現場の空気感からも多くのインスピレーションを受けています。こうした五感で感じたリアルな情報が、次の企画や経営判断に活きてくるんです。
そして今は「AI」に注目しています。特にChatGPTのようなツールを社内でも活用し始めています。AI を上手く使いこなせば、生産性は飛躍的に向上しますし、スタッフ一人ひとりが本当にやりたい仕事に集中できるようになります。これからの時代に不可欠な武器だと思っています。
2025年、hbazは年商10億円を突破する見込みです。ここまで来られたのは、SNSや営業といった自分達の強みを活かしながら、地道に基礎を築いてきた結果だと思っています。インフルエンサー制度を取り入れ、華やかなブランドイメージを創り上げることで、集客にもつなげてきました。でも、ここがゴールではありません。これからは、さらに明確で、関わる人達がワクワクできるような新しい目標を掲げたい。次に目指すのは、今の自分達の天井を突き破ること。それが、僕の次なる挑戦です。

hbaz代表取締役・長井竜太(@ryuta_nagai)
Profile
1975年、千葉県生まれ。2005年よりネイルサロンの経営をスタートし、2013年に株式会社hbazを設立。現在は「INITY」をはじめ、「TOY’s × INITY」「lem.」など複数の人気ネイルブランドを手がけ、業界の第一線で活躍している。@ryuta_nagai
『NAIL VENUS』2025 Autumnより
Photo & Interview:Daisuke Udagawa(M-3)@udagawadaisuke

