東京・渋谷に誕生した新拠点「HISTORIC HOUSE」。それは単なるオフィスでもショールームでもない。人と人、ブランドとカルチャーが交わり、新たな価値を生み出す“装置”として設計された空間だ。総合美容メーカーとして進化を続けるHISTORICが、この場所に込めた意図とは何か。代表・石原瞳さんの言葉から紐解く。

“日替わり”で更新される、ブランド体験の最前線
「ここでは、週替わり・日替わりでポップアップを展開できる設計にしています」と語る石原さん。 スキンケア、ネイル、まつ毛など約10ブランドを展開する同社にとって、従来の外部スペースを都度借りて施工する手法には、コスト・効率の両面で課題があった。
その解決策として生まれたのが、“常設でありながら可変する空間”だ。ブランドごとに異なる世界観を持ちながらも、それらを一つの場所で横断的に体験できる設計。これは単なる合理化ではなく、ブランド体験の純度を高めるためのアップデートでもある。


区切らないことで生まれる、一体感という価値
空間設計において重視されたのは、“分けすぎない”という思想だ。ショールーム、商談スペース、展示機能、本来分断されがちな要素をあえて一体化することで、視覚的にも体感的にも広がりのある空間を生み出している。
「ブランドごとにトーンは異なる。それでも共存できる素材や色の“中間地点”を探しました」 設計には約7ヶ月を費やし、カーペットや鉄素材といった要素も、すべてのブランドにフィットするバランスで構成されている。


サロンを支える“総合力”という進化
もともとまつ毛エクステ事業からスタートした同社は、現在ではネイル、スキンケア、ユニフォーム、ファニチャーへと領域を拡張。社名を「HISTORIC」へ刷新し、総合美容メーカーとして新たなフェーズに入った。
その根底にあるのは、「美容サロンのすべてを支えたい」という思想だ。商品開発にとどまらず、教育、ブランディング、空間設計までを包括的にサポート。このHISTORIC HOUSEもまた、技術を学び、世界観を体感し、ブランド構築を理解できる“体験型教育拠点”として機能していく。


カルチャーを混ぜることで、美容は更新される
「美容とアパレル、ヘア。それぞれのカルチャーは、もっと近づくべきだと思っています」 石原さんが見据えるのは、業界の垣根を越えた融合だ。
ネイルやまつ毛に対する既存のイメージを解体し、ファッションやライフスタイルと接続していく。この場所に多様な人が集まることで、新たな価値が自然と立ち上がる。HISTORIC HOUSEは、その“化学反応”を意図的に起こすための場でもある。


“更新し続けること”こそ、美である
石原さんにとっての“美”とは何か。 「外見も思考も、常にアップデートし続けること。古くならないことです」
その言葉の通り、同社は年間100以上の新商品を開発し、現在では4000SKUを超えるラインナップを展開。プロユースと一般市場の境界を越え、BtoB/BtoCの垣根を溶かすプロダクト戦略も進行している。
“プロがつくるからこそ、一般にも届くクオリティ”、その思想がブランドの成長を加速させている。
新しい場所は、そこに集う人によって完成する。 HISTORIC HOUSEは、まだ“余白を残した空間”だ。ここでどんな出会いが生まれ、どんなカルチャーが混ざり合うのか。 その変化の起点として、この場所はこれから機能していく。

Profile
石原瞳さん
2004年にまつ毛エクステサロンを創業。2009年LASH DOLL JAPAN設立後、アイラッシュブランド「Miss eye dʼor」を皮切りに、サロンユニフォーム「MY FORME」、ファニチュアシリーズ「GANA」、ネイルブランド「oui NAILS」、スキンケアライン「TO」など、領域を横断したブランドを次々と展開。2023年、HISTORIC株式会社へ刷新し、総合美容企業として進化を続けている。この場所はこれから機能していく。

HISTORIC HOUSE
東京都渋谷区渋谷1-8-3
AND CROSS BLDG. 8F
Photo&Text_Daisuke Udagawa(M-3)

