「稼げるネイリスト」を育成するために
「ビンリリ」という一風変わった名前は、父親のあだ名と自分の名前にちなんでつけたという。接客業時代から好きで通っていたネイルサロン。25歳の時に、担当のネイリストから誘われ、ネイルの仕事について考えるように。「手に職をつける」ことは、今後何かと勇気になると考え決心した。
「ネイリストになりたての頃は、接客には自信がありましたが、技術が全然追いつかなくて。先輩方の仕事の段取りをよく見ながら、毎日・毎時間が勉強でした。また、週4日くらいのペースでモデルさんに来ていただいて、ひたすら練習もしていました。就業後や休日も練習に費やし、一人のときはネイルチップで練習して、写メを撮って、オーナーや先輩へ送ってチェックしていただいたり。毎回、的確なアドバイスをたくさんいただけたし、とても良い環境のもと働かせていただきました」
夢は叶ったが目標を失う
その後、30 代で独立。埼玉県入間市に自身のサロン「ビンリリィネイル」をオープンする。当時の目標は、月の売上100 万円以上。店舗としての環境をしっかりと整え、固定電話の設置やクレジットカードの導入などにもこだわった。さらに、近隣のサロンと差別化を図るために、開業当時は9時開店の22時閉店といった長めの営業時間に設定した。さらに、定休日なしというから驚く。
「それぞれのお客さまにとって、ベストなベースジェルを探しては、毎回カルテを書いて、商材についてもひたすら研究していました。おかげ様でサロンの評判もよく、徐々に軌道に乗り、安定した収入が入るようになりました。けれども『夢が叶った!! 』と思った瞬間、胸にぽっかりと穴が空いたような感覚に。夢が叶ったと同時に、目標を失ったような気持ちになり『このペースで、ずっと現役のネイリストは無理かもな』と考えるようになりました」
◾️Profile
ビンリリさん
10代の頃より、ネイルサロンに通う。接客業を経て、20代中盤でネイリストへ転身。サロン勤務を経て、30代で独立。サロンワークの傍ら、ネイル講師を育てるための活動を開始。主にオンラインスクールを展開し、これまでに多くの生徒を輩出。24年9月には北海道をかわきりに、全国でマシンセミナーを開催予定。さらに10月からは講師育成のスクールを開講予定。@_bin_lily_room_
SNSの発信を日常的に
「今度は教える側の立場に」と思ったビンリリさん。まずは講師としてのインスタグラムのアカウントを開設する。「とりあえず、発信していこう」と、オフのやり方やマシンの操作など、最初は見よう見まねで、講師としてのキャリアをスタートさせた。
「講師としての発信をやっていくうちに、サロンのマーケティングについての投稿に多くの反響をいただきました。これは『自分のサロンを作ったけど、経営や運営が上手くいっていない』という問題を抱えているネイリストさんが多いのでは? と思いました。現在、独立するネイリストさんがますます増えていて、けれども上手くいっていない方の共通点は、やはり自分のためのサロン作りをしてしまっている方たち。その気持ちはわかるけど、あくまでもサロンは、お客様のために存在するもの。それがちゃんと理解できれば、今やるべきことが明確になるはず」
ネイルの世界への恩返しを
ターゲットは、サロンオーナーのネイリスト。ビンリリさんは、そんなオンラインスクールを展開する。主にサロンの経営について。集客方法や価格設定、接客術、スタッフとのコミュニケーションについてなど、内容は多岐に渡る。現在はコロナ禍を経て、リアルセミナーの開催も積極的に行う。
「今後は『ネイル講師育成』のスクールを開設し、多くのネイリストさんと情報を共有していきたいです。それが、私を育ててくれたネイルの世界への恩返しかなと。そして、一人でも多くの『稼げるネイリスト』を輩出して、みんなハッピーになってもらえたら嬉しいです」
◾️Salon Data
bin LiLy NaiL
埼玉県入間市下藤沢678-1
@_bin_lilly_nail_
Photo&Text_Daisuke Udagawa(M-3)
こちらの記事は『NAIL VENUS』2024 Autumn(P81)に掲載されています。