2020年のデビュー以来、SNSから火がつき、瞬く間に人気ブランドへと成長した「ミスティックジョー」。ブランドの代表を務める浮田美遊さんは、2017年よりネイル活動をスタートしたという新進気鋭のネイリスト。ここでは、そんな浮田さんにその原動力について、話を伺った。
すべて自分で決められたらいいのに
幼少の頃、月に1 度のお小遣いをもらうとすぐに、駄菓子屋などですべて使い切っていた、それでまた1 ヶ月後のお小遣いを待っていたという。そんな幼少時代を過ごした。計画性がないのか、そもそもそれが計画通りなのか。そこには「思い立ったが吉日」とばかりに物事を進めていく浮田美遊さんのルーツが隠されているのかもしれない。
高校卒業後は、特にやりたいこともなく、消去法のような選択で美容専門学校へ。
「エステやメイク、ネイルなど、トータルビューティを学びました。特にやりたいことではなかったのですが、入学したからには一所懸命勉強しました。おかげで皆勤賞にもなりました。『やると決めたら、とことんやる』、自分にはそんな一面があるとその頃に気づきました」
そのまま流れに沿って、エステサロンへ就職した浮田さん。エステというハードワークにも耐え、4 年間務めた後に自分の将来について考え、進路変更を計画した。
「就職したら、それはそれで誠心誠意努めました。4 年ほど頑張ったところ、お店のシステムや環境に対して、自分の理想が芽生えてきて『全部、自分で決めることができたらいいのに』と思うようになっていました。エステの世界で独立できる資金やノウハウがあるわけでもなく、他にやりたい仕事があるわけでもないのに、一旦退職しました」
そうだ、ネイリストになろう!
そんな浮田さんに転機は訪れる。元々セルフネイルを楽しんでいた浮田さんは、友人からネイルを頼まれるように。試しにSNSへ投稿すると反応も悪くない。「そうだ! ネイリストになろう! 」と思った日から、YouTube をはじめとするネイル関連のネットをくまなくチェック、寝ている時間以外のすべてをネイルに注ぎ込んだ。
「友人には、練習がてら無料で施術を行なっていたのですが、『次もまたやってほしい』と継続するようになったので、次第に施術代をもらうようになりました。小さなアパートを借りて、そこが私のプライベートサロンとなりました。その頃は、『お金を稼がないと生きていけない』という思いでとにかく必死に頑張りました」
ネイルスクールを出ていなければ、ネイルサロン勤務経験もない。YouTube で技術を学び、ネット検索で商材についての知識をつけた。限られた時間のすべてをネイルに捧げた結果、サロンオーナーとなった。固定概念に囚われない柔軟性と行動力が浮田さんの強みだ。
「その後、お客さまも徐々に増え店舗をアパートから移転させることができ、ようやくネイルサロンらしい見た目になっていきました。やっと軌道に乗り始めた頃、2020年のコロナ禍に見舞われ、サロンワークもままならなくなりました」
SNSの可能性をとことん追求
「思い立ったが吉日」。コロナ禍の中、ブランド「ミスティックジョー」が誕生する。第一弾アイテムは、オリジナルのラメシリーズ。それがSNSで火がつき大ヒットとなった。
「SNS はとにかく頑張りました。一度、ハマるととことん追求するタイプなので、投稿する内容については、画像や投稿枚数、タイミング、タグ付けなど、とにかくこだわりました。その結果、反響が良いものが多く。ネイリストを目指し始めた頃から、ネイル関連のSNS をすごく見ていましたので、ある程度のマーケティング感覚があるのかもしれません」
SNSで話題となった「J.O.NAILS」ワールド!!
多くの人に愛されるブランド「ミスジョ」の誕生
今では「ミスジョ」の相性でプロからセルフネイルを楽しむ人まで、幅広い層に愛されるブランドにまで成長を遂げた「ミスティックジョー」。2023 年にはアートの可能性をさらに追求したジェルブランド「キュイ」や「クリュ」なども展開する。2024 年に9月には、東京は銀座に新たなネイルサロン「J.O.NAILS」をオープンさせた。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの浮田さん。その原動力について聞くと。
「自分には何ができるんだろう? 自分は何者なんだろう? ということを常に考えています。動機はそれだけですね。計画性はあるようなないような……。いつもフワッと思っているものが、ある日突然急ピッチで進んでいくような感覚があります。『自分が何者かになれた』と思った時が、とりあえずの目標達成です」
一見、風任せに思える道のりだが、間違いなく風を読む力に長けている浮田さん。SNS 時代を生きる次世代のカリスマは、今後のネイルシーンをさらに盛り上げることだろう。
Profile:うきたみゆ/ 1994 年生まれ、三重県出身。美容専門学校を卒業後、エステサロンに就職。4 年間勤務した後、ネイリストへ転身。地元三重県松阪市でプライベートサロンをオープン。2020 年にブランド「MYSTIC JO.(ミスティックジョー)」を立ち上げる。2023 年には姉妹ブランド「QUE(キュイ)」「CRÉU(クリュ)」をスタートさせた。24年9月には、東京は銀座にネイルサロン「J.O.NAILS」をオープン。Instagram:@j_o_nails
◾️Salon Data
「J.O.NAILS」
東京都中央区銀座4-8-13 銀座蟹睦会館401
営:11:00~19:00
定休日:月曜
※予約はLINE(@446zlqer)から
※この記事の続きである「ミスティックジョー」の商品及び浮田さんの作品は、現在発売中の『NAIL VENUS』2024 Autumn(P88-89)に掲載されています。
Photo&Text_Daisuke Udagawa(M-3)